マンション管理会社交替・委託管理費6割削減までの道のり

マンション管理会社交替・委託管理費6割削減までの道のり

10.役員退任


1月の臨時総会後から4月末までの新旧管理会社の引継ぎ期間中は、設計図書や管理書類を主とした引継ぎをした。引継ぎに必要な書類は当マンションやH社内で全て保管しており、引継ぎは滞りなく終わった。CIPのK氏によると、管理会社のなかでも書類管理が杜撰なところは引継書類が紛失して殆んど揃わないところがあり、H社の書類管理能力には感心しきりだった。

一方で日常清掃は疎かになっていった。K管理人はモチベーションが下がったのか、管理人室に引き籠もるようになっていった。
共用部分の廊下はゴミの散乱が目に付くようになり、みるみる間に汚れが目立っていった。
K氏の名誉のために付け加えておくが、新旧管理人の引継ぎは積極的に協力してくれた。K氏は、引継ぎ完了後にH社が斡旋した彼の自宅の最寄りのマンションの管理人に就いた。

5月1日からD社の管理体制が新たにスタートした。
フロント担当のT氏は、大阪支店ではエース級の逸材で、リプレイスした案件ばかり9組合ほど抱えていた。彼は理事会が望んだことは何でも丁寧且つ迅速に対応してくれた。KM管理人は、62歳と管理人を始めるにはやや高齢であるが、当マンションの近所に住んでおり、前職は某マンション管理会社の設備担当だった。
D社が当マンションの管理人の2次募集をした時に、フロント担当T氏のお眼鏡にかなったのがKM管理人だった。T氏によると「KM管理人は元々同業なので、話が通じ易い。」ことが採用の決め手となった。

D社の管理方法はH社より堅実だった。私がこう感じた理由は、H社やマンション管理の専門家が理事会決議で十分対応出来ると言っていた議案を、万全を期して総会決議を採るべきだとD社が主張してなかなか譲ろうとしなかったからである。(議案の詳細はここでは省略する。)やや融通に欠けるきらいがあるが、コンプライアンスにはうるさい会社でとても悪いことはするようには見えなかった。

品質面でD社とH社を比較すると、フロント担当、管理人の資質は甲乙付けがたいが、CIPと共同で進めた仕様書作りで品質の2割UPを図った結果、それ以上の改善がみられた。
日常清掃は従来週3回だったのを毎日に変更した結果、共用部分は次第に綺麗になっていった。
前の管理会社の時に一番疎かになっていた荒れ放題だった植栽ゾーンもこまめに草抜きをした結果、雑草が減少していった。管理会社を通さず、組合と直接契約を結んだ専門業者(定期清掃・消防設備点検・雑配水管清掃:W社、エレベータ保守:T社、機械式駐車場保守:A社、植栽:F社)の対応も、今だ不明なA社?を除いてフロント担当T氏の印象はすこぶる良かった。

また、フロント業務については、仕様書にコンサルティング業務を新たに加えた為、組合に持ってくる提案内容が以前より充実したものとなった。(仕様書では提案、見積書は複数案を提案することとした。) D社は、まだ替わって間もないので今は一所懸命やってくれているが、問題はこうした良好な管理を今後もずっと継続してくれるかである。

現在は品質を監視するために、CIPと顧問契約(コモンズ.netという)を結んでいる。
これはCIPが、
①管理会社が提出する見積金額が妥当であるかのジャッジ
②年1回、マンションに出向いて仕様書通りに管理出来ているかの品質監査
③管理会社が作成する長期修繕計画の査定
④管理会社作成の月次報告書及び提案内容のチェック
を行ってくれる。
このツールを使いこなすため理事会が継続的に活性化していく仕組み作りこそが、次期理事会の検討課題である。

7月の定期総会で私は丸4期に亘り関わってきた理事会の役員を退任した。理事長就任の1期目は右も左もわからず、H社の言いなりだった。2期目以降にようやく幾つもの大きなプロジェクトを実施することが出来た。H社が提案した直結給水方式の工事を除き、どれも発案した私が推進役となったが、理事会役員全員が一致協力したことにより、実行に移すことが出来た。(機械式駐車場を一部撤去し跡地を平面駐車場化、管理費大幅削減、管理規約改定・使用細則制定)

こうした経験から、どのマンションでも管理組合の役員の任期は2年とし、継続性を持たせるため、半数改選とした方が良いと思った。7月以降は、周囲の強い要請もあり、再来年に予定している第一回目の大規模修繕委員になることを快く引き受けた。
現在、当マンションではマンション管理に関心のある区分所有者の数が世間水準と比較して決して多いとは言えない。今後、なるだけ多くの区分所有者がマンション管理に関心を持ってくれて、管理組合の活動が益々活性化していくことが私の切なる願いである。

〔2009年7月31日 更新〕

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